浮世絵師・喜多川歌麿が描く日本の女性 代表作を見てみよう!
日本を代表する美術作品である浮世絵。喜多川歌麿は、女性の内面や艶っぽさを巧みに表現する美人画絵師として人気を博しました。
江戸時代の女性を魅力的に描いた作品は現代でも人気が高く、国内外を問わず人々を惹きつけています。喜多川歌麿が歩んだ人生と、生み出した作品について解説しましょう。
喜多川歌麿の生涯
喜多川歌麿は、葛飾北斎、歌川広重、東洲斎写楽と並び江戸時代を代表する4大絵師の一人です。
しかし、生年や出生地など不明な点が多く、その生涯は謎に包まれています。18歳頃に狩野派の絵師である鳥山石燕の弟子となる記録があり、20代では多彩な画風や媒体に取り組んだとされています。
転機が訪れたのは、歌麿が31歳の頃。歌麿が手がけた狂歌絵本が版元の蔦屋重三郎の目に止まり、精密で写実的な絵を描く才能を見出されます。
蔦屋に作家などを紹介されて交友を広げた歌麿は、さらに画力に磨きをかけて春画でも名を広めていきます。
黄表紙や挿絵の錦絵などを手がけた後に美人大首絵を発表したことで人気が爆発し、浮世絵美人画の第一人者となりました。
しかし、浮世絵が風紀を乱すと考えた幕府は、寛政の改革によってその制作を厳しく規制します。
歌麿は様々な表現の制約に屈することなく新しい表現手段を開拓し続けましたが、52歳で風紀取締りの処分が下り、2年後にこの世を去りました。
喜多川歌麿の作風
繊細で品のある描線が特徴的で、女性の様々な仕草や表情の美しさが華麗に表現されています。
遊郭の女性や花魁といった華やかな女性だけでなく、市井の町娘たちの姿も生き生きと描いた点も人気が出た理由のひとつです。
かつて美人画は全身を描く構図が一般的でしたが、歌麿は体を省いて顔を中心に描く役者絵の手法を取り入れました。
人物の顔に焦点を合わせることで、女性の喜怒哀楽や性格までも描き出す大首絵は現在でも高く評価されています。
喜多川歌麿の代表作
ポッピンを吹く女
赤い市松模様の振袖に身を包んだ町娘を描いた爽やかな美人画です。
当時の流行であったポッピンというガラス製の玩具で遊ぶ少女のあどけない様子を見事に描いた作品で、国内外を問わず人気があります。
喜多川歌麿の代表作である婦人相学十躰のひとつですが、十躰のうち5作品しか現存していない貴重な作品です。
寛政三美人
寛政期に実在した3人娘の美人画です。描かれているのは、吉原芸者の富本豊雛、水茶屋の看板娘の難波屋おきたと高島おひさといわれています。
浮世絵で表現される女性の顔はどれも似ているものが多いですが、この作品では歌麿による個性の繊細な描きわけが見受けられます。
喜多川歌麿の作品には、当時の日本女性の美が表現されています。
その感性や表現技法は独特で、海外の方の目には新鮮に映ったことと思われます。
特に、ポッピンを吹く女は江戸時代の流行も描写されているので、日本文化に興味を持ってもらえそうです。
喜多川歌麿の絵がデザインされたものを日本のお土産として渡す際には、今回ご紹介した話を添えて会話を弾ませましょう。
2019年2月27日