子どもの日にどうして「こいのぼり」をあげるの? こいのぼりの由来
5月5日のこどもの日が近づくと、優雅に空を泳ぐこいのぼりを見かける機会も増えてきます。
こどもの日の象徴として知られているこいのぼりですが、そもそも何故「こいのぼりを空にあげる」のでしょうか。今回はこの「こいのぼりの由来」について紹介していきます。
立身出世の象徴
こいのぼりという言葉は「鯉」と「幟(のぼり)」という意味が重なっているという説があります。
中国では「滝を登った鯉が天に昇り龍になる」という言い伝えがあるのですが、それが「男の子が生まれたら幟を立てて祝う」という日本の風習と混ざり、今に至ったという考え方です。
流れに逆らい滝を昇る鯉のように、困難に立ち向かい力強く成長してほしいという願いと、縁起物の「幟」を合わせて、こいのぼりが誕生したというのが有力な説の1つです。
また、幟自体にも「鯉」と関わりがあるものが多く、この幟のシンボルとして鯉をデザインしているものが多くありました。当時から鯉は縁起物として知られており、それが時代が進むにつれて、鯉のデザインから鯉が実際に泳いでいるデザインのものが好まれるようになり、今に至ったとも考えられています。
陰陽五行説から見る、こいのぼりの色
当時は黒い鯉(真鯉)だけだったのですが、時代が経つにつれて緋鯉(母親)や子どもの青い鯉が誕生するようになりました。
その理由は、古代中国の陰陽五行説にあるといわれています。
まず父親の真鯉は黒であることが一般的ですが、黒は五行説で「冬・水」を表す色です。
冬は生物の多くが活動を停止している季節とされており、水は生命の源として考えられています。ここから黒は、小さなことには動じないどっしり力強い生命力を持ったものと考えられるようになりました。
こういった点から黒い鯉は父親を示すことが多く「家族の大黒柱」である印象を与えているとされています。
母親をイメージさせる緋鯉の赤は「夏・火」を表します。
「冬」とは対照的に夏は生命が活発に活動する時期で、「火」というものは「人間の知恵」を表す意味があります。生活の知恵を備えた印象を与えるため、緋鯉(赤い鯉)が母親になったといわれているのです。
また、子どもの鯉は「青」で現れることも多いですが、実はこちらも五行説からきています。青は「春・木」を表すもので、生命活動が始まり、すくすくと育っていくという意味合いを持った色なのです。子どもがこれからすくすく育つようにという願いを込めて、子どもの鯉は青くなっているといわれています。
こいのぼりは子どもの成長を願うために始められたしきたりの1つといえます。立身出世や健やかに育つようになど、さまざまな意味合いが込められていることが分かりますね。
こいのぼりは日本を象徴するものでもありますので、外国の友人のお子様などにお土産を渡す機会がありましたら、こいのぼりがデザインされたものもいいかもしれません。
2018年3月29日