雛人形の意味や由来は? 知っておきたい豆知識
愛らしい雛人形は、外国の方へのお土産として魅力的です。
しかし、その意味や由来を知っておくと、雛人形を選んだ意味やその心遣いの伝わり方が変わってきます。
雛人形を贈るなら知っておきたい豆知識もあわせてご紹介しますので、ご一読ください。
雛人形を飾る時期
雛人形は「桃の節句」に飾るものとして親しまれていますが、正しくは「上巳(じょうし)の節句」といいます。春を祝う行事でもあるので、立春(好みの上での春。節分の翌日)ごろから雛人形を飾り始めるとよいとされています。
少なくとも1週間くらい前までに飾りつけましょう。
片付ける時期は、早い方がよい、春分の日や旧暦の3月3日(4月中旬)までとするなど、地域によって考え方の違いがあります。
人形が湿気を嫌うため、片付けるのは晴れた日を選ぶとよいでしょう。
ひな祭りを過ぎたらすぐに片付けないと嫁に行き遅れるといわれますが、それは雛人形に込めた親の思いの裏返しともいえます。
高級な雛人形を丁寧に扱うことや片付けがきちんとできる女性になってほしいという願いです。
また、雛人形は本来、子どもの身代わりとして厄を引き受ける役目があるため、いつまでも出しておかずに早く片付けるほうがよいとされています。
雛人形を飾る意味とその由来
かつては疫病や自然災害などで幼いうちに命を落とす子どもが少なくありませんでした。
雛人形を飾るのは、人形の扱いをとおして躾を学ばせることだけでなく、子どもの健やかな成長に感謝し、喜ぶためです。
良き伴侶を得て、幸せな人生を送ってほしいという願いも込められています。
雛人形の由来は、奈良時代まで遡ることができます。当時は紙やわらで作った人形(ひとがた)という人形に息を吹きかけたり体に触れさせたりすることで厄を移し、川や海に流すという風習がありました。
平安時代になると、雛遊び(ひいなあそび)という紙人形でのおままごと遊びが貴族の子どもの間で人気となり、この頃に男女の雛人形が生まれたといわれています。
今日のような雛人形が登場するのは江戸時代に入ってからです。
それまで貴族や武家の間で行われていた雛遊びが、女の子のひな祭りとして庶民に広まるようになると、人形作りが盛んになり、豪華な人形や道具、調度品が登場するようになりました。
さまざまな雛人形
今日では、雛人形にはいろいろな役者がいます。
段飾りでは、一段目が親王(男雛と女雛)、二段目が三人官女、三段目が五人囃子、四段目が随臣(右大臣と左大臣)、五段目が仕丁(三人の従者:泣き上戸と笑い上戸、怒り上戸)で、合計15人です。
日本独特の繊細な装飾の雛人形を贈るのが運搬などの関係で難しい場合、全体的に丸みを帯びた卵型のようなデザインや、立ち姿の立雛、つるし雛もあります。
地域によっては郷土雛があり、土から作られた土雛や古紙を再利用した張り子、漆塗りの技術を活かした蒔絵風のもの、繭玉やガラスなどが使われていることもあります。
ネズミやウサギ、テディベアなど動物の雛人形も可愛らしいです。
雛人形は、かつて子どもの身を疫病や災難から守る厄払いの儀式でした。
長い時間をかけて、厄を流すものから飾って楽しむものに変化しましたが、その根底にある親としての願いに変わりはありません。
外国の方に贈るときには、人形の美しさだけでなく、その由来をぜひ添えてください。
受け取る方だけでなく、ご家族への心遣いも伝わり、いっそう喜んでいただけるでしょう。
2018年11月29日