日本の伝統工芸! 和紙の特徴とは?
日本独自の伝統的な製法で作られている「和紙」。丈夫で実用性が高く、また見た目の美しさや手触りの良さなど、魅力あふれる特徴がたくさんあります。海外からの評価も高く、埼玉県の細川紙、岐阜県の本美濃紙、島根県の石州半紙の3種類の和紙が無形文化遺産に登録されるなどしています。
今回は日本が世界に誇る「和紙」の特徴や魅力をご紹介しましょう。
和紙の特徴
和紙の特徴のひとつは耐久性です。その丈夫さの秘密は原料にあるとされています。
和紙の原料は楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)、麻(あさ)が主です。これら原料には紙の質を弱くする成分が含まれていないため、和紙が頑丈になると言われています。
耐久性、保存性、柔軟性、安定性が高い評価を受け、国内はもちろんのことですが、海外にある文化遺産の修復に和紙が利用されるほどです。また、奈良の正倉院には約1300年前のものと言われる和紙が残っています。和傘にも和紙が利用されていますね。水に濡れてしまう傘に利用するのは、並外れた強度のある和紙だからこそ可能だと言えるのではないのでしょうか。
原料のほかにも、和紙を作るうえで大切な要素になるのが水です。
和紙は原料の楮を水にさらして洗ったり、水で流しながら漉く、「流し漉き(ながしすき)」をしたりして作成します。その際に使う水が和紙の質に影響するのです。
和紙作り適していると言われているのが、カルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水。普通の水道水で和紙を作ると、塩素が反応して数年後に紙が赤色に変色するなどしてしまいます。
和紙職人は水にもこだわって上質の和紙を作っているのです。
和紙と洋紙の違い
「洋紙は100年、和紙は1000年」という言葉あります。やはり和紙と洋紙の決定的な違いは、紙の耐久性と言えるようです。
洋紙は100年もたつとボロボロになってしまいます。しかし和紙は経年劣化がほとんどありません。実際1000年以上前の古文書が今でも多く残っています。一番古いものであれば、前項でも少し紹介しましたが、奈良の正倉院にある戸籍を記録するために使われた和紙です。「大宝2年(702年)」のものであると言われています。
耐久性の差は原料の違いはもちろんですが、紙としての構造の違いから生まれているとも言えます。洋紙は繊維を短くして化学薬品で固めています。大量生産には適していますが、化学薬品の影響で劣化が早まってしまいます。しかし和紙は長い繊維を絡めたシンプルな構造。大量生産はできませんが、その分劣化しない頑丈な紙になるのです。
和紙が使われている場所
和紙は現在でも多くのところで使われています。
・木版画洋紙
・画用紙
・日本の紙幣
・傘、提灯、うちわ、扇子など
このほかにも、和紙で作られたバッグやドレスなどもあります。和紙でドレスを作ると言うとびっくりしますが、平安時代では「紙衣(かみこ、かみころも、かみきぬ)」と呼ばれており、和紙が衣料として使われていました。
今も昔もいろいろな場面で活用されている和紙。1000年以上続く伝統が受け継がれ、今でもその魅力は尽きません。
和紙を使ったお土産品などもありますから、海外の知人に会いに行くときに持って行ってあげれば、きっと喜んでもらえると思いますよ。
2017年6月13日