日本酒はなぜお猪口を使うの? 知っておきたいお猪口の基礎知識
日本酒を飲むときに使うお猪口は、手のひらにちょんと乗るサイズの大きさで、日本酒を飲む際にとっくりとセットで使うのが一般的です。
現在は日本酒を飲むのに使われるお猪口ですが、江戸時代以前は少量の酢の物や和え物を入れる器として使われていました。
お酒を飲む器として使われるようになったのは、江戸時代中期ごろからです。今回はこの「お猪口」の基礎知識をご紹介しましょう。
なぜお猪口は小さいの? 日本酒とお猪口の関係
ご存知の通り、お猪口は飲み物を入れる器としては小さく、その容量は一般的に45ml程度です。
お猪口の容量が小さいのは、日本酒はアルコール度数が高いため、少しずつゆっくり楽しむのにお猪口のサイズが最適なのです。
お猪口とよく似たものに「ぐい飲み」がありますが、こちらはお猪口よりも大きく、ご飯をよそう茶碗より一回り小さいくらいのサイズが目安です。
名前の通り、ぐいぐい飲むための器で、お猪口がとっくりとセットになり、お猪口に注ぎながら飲むのに対し、ぐい飲みは直接器にお酒を入れて飲みます。
ちなみに、お猪口の「猪口」は当て字であり、猪とは関係がありません。
お猪口という名前の由来は「ちょこちょこ飲む」や、飾り気がないという意味の「直=ちょく」から来ていると言われています。
お猪口の中の模様は日本酒の品定めのため
お猪口の形にはさまざまなバリエーションがありますが、お猪口の模様といえば、内側は白く、底に青色の二重円が描かれていることが多いものです。
この模様は上から見るとヘビの目のように見えることから、「蛇の目(じゃのめ)」と呼ばれています。
お猪口の大きさが違っても、内側が白い点と、円の色とサイズに関しては共通となっています。その理由は、利き酒をするときの目安とするためです。
内側の白さで日本酒の「透明度」を、青い部分で日本酒の「光沢」をチェックします。
蛇の目が青でなければならない理由は、日本酒がほんの少し黄みがかっていることに関係しています。日本酒の色の付き方の確認に最も適した色が青色なのです。
日本酒を飲むときのお猪口の正しいマナー
お猪口はとっくりからお酒を注いで飲む道具です。とっくりは胴体の一部分が凹んでおり、この反対側から注ぐのが正しいスタイル。
お猪口に触れないように、入れる量は八分目が目安です。
お酒を受ける場合はお猪口をテーブルに置いたままではなく、手で持って受けるのが作法です。右手でお猪口を持ち、左手で支えるようにすると上品に見えます。
また、お猪口の持ち方にも公家流・武家流という2つの方法があります。
公家流は人差し指と中指で底を挟み、親指で縁を支える持ち方で、下から包み込むように持つため優しげな雰囲気になるため女性向きと言われています。
武家流は親指と人差し指で縁を持ち、残りの指で底を支えます。お猪口の上から挟むような持ち方なので、男性向きです。
どんな器を使って飲んでも構わないのですが、日本酒を楽しむためにはお猪口が向いています。
日本酒が好きな人への贈り物として、日本酒だけではなく、お猪口もあわせて贈ってみてはいかがでしょうか。
2018年12月27日